「さようなら」   谷川 俊太郎

☆ 僕もういかなきゃなんない  すぐいかなきゃなんない
 どこへ行くのかわからないけど 桜並木の下をとおって
 大通りを信号でわたって いつも眺めている山を目印に
 ひとりでいかなきゃなんない どうしてなのかわからないけど
 お母さんごめんなさい お父さんに優しくしてあげて
 僕 好き嫌い言わずになんでも食べる  本も今より沢山読むと思う
 夜になったら 星を見る☆ 昼はいろんな人と話しをする
 そして きっと一番好きな物をみつける
 見つけたら 大切にして死ぬまで生きる
 だから 遠くに行っても 寂しくないよ
 僕もういかなきゃなんない  ☆
 
何度読んでも涙する詩です。
「死ぬまで生きる」という本に、小6で脳腫瘍のため、一人娘を亡くされた知人が、私も大好きな「谷川俊太郎」の詩を載せました。 世の中を生きていく時、何が私たちにとって大切であるかを教えてくれる。父母の死・配偶者の死・愛する子を死に奪われた親・友人達・その他 それぞれ対象の立場は違っていても、すべての人は、逝く人に支えられていた日々、その思い出の中で今も尚、支えられている自分を発見するのです。